経緯

以下は、自分がうつ病と診断されるまでの経緯ではあるが、うつ病の原因ではないと考える。自分の場合、原因は性格と環境であり、経緯については、発病のトリガーとなるものであった。

  1. 異動
  2. 自分は長い間、システム担当として客先に長年勤めていたが、政治的な理由で、その場所を離れることになった。 自社に戻って仕事をするようになったわけだが、今まで勤めていた振る舞い、習慣などが、自社の文化には存在しなかった。 そのことで、よく叱られるようになった。 自分は、叱られることに対しては、別の耐性がはたらくので、同じことを繰り返すことになってしまい、 「言ってもきかない奴」という肩書きがつけられた。

  3. 仕事の失敗
  4. 今まで、システム運用担当としてやっていたが、自社に戻ったことで、システムの開発に転身した。 最初はWebコンテンツ関連の仕事をこなして、自分がやりたいようにしていたのだが、 数をこなすにつれて、あれはだめ、これはだめなどの横槍が増えて、最終的には身動きがとれなくなってしまった。 身動きがとれない中で、納期だけが迫ってくる。 自分のやり方でやっていたらすでに終わっていたものが、まったく進んでいない。 今考えても、これは非常にきつかった。

    ここで強調しておくが、今回の原因はこれではない。もともとの仕事の仕方が間違っていたのだ。

    ある日、大規模なシステム開発を受注することになった。 自分が提案書を作成し、提案の会議に数度と出席し、ついに受注までこぎつけた。 開発の打合せを数度と出席していく中で、夢をみるようになった。

    会社の仲間が、今回のシステム開発をしていく中で、どんどん辞めていく夢だった。 自分ひとりで、これをこなさなければならない状態に陥っていた。

    もちろん、現実的には誰もやめていないのだが、同じ夢を数度みるようになった。 その朝は起きたときには不安感でいっぱいになっていた。

    なお、会社としては、プロジェクト途中で社員が辞めた場合は、人材を割当てるなどの対応が当然なので、 ひとりで行わなければならない状況というのはまずありえない。 そのときは、そんな冷静なことも考えることができないのだ。

    その中で、ひとつ別の仕事をすることになった。データベース関連の仕事で、重要なシステムを担っていた。 初期開発は順調であったが、テストを重ねて、修正をしていく過程で、不具合が段々と出てくるようになった。 初歩的な間違いなど、状況はひどいものであった。原因は、自分が修正したものを、まったく確認していなかったからだ。 これだけだと完全な怠慢なのだが、本質として書きたいことは、自分は、確認作業というもの自体を考えることができなくなった。 これは周りの数人に話したことはあるのだが、だれにも理解されなかった。 確認作業ができなくなっていたのだ。 このプロジェクトは不具合対応のため、調整作業のため増員することになった。 自分が確認作業をしないために、何人もが奔走しているのだ。 それでも、自分はお客様と会話しなくてはならない。 すでに、この段階では、自分しか知らない質問であっても答えられないくらいになっていた。

    ある日、お客様宛にメールを出すときに、数度となく間違った内容を送ってしまった。 フォローすればいいのかもしれないが、似たような間違いを数度行なうのは、何かが狂ってきた気がした。 また別の日に、お客様宛にメールを出そうとしたら、送信ボタンが突然、押せなくなった。 どうがんばっても押せない。こうしていくうちに時間は過ぎていく。納期が迫る。 これは、以前に体験したことがある感覚である。

    決定的におかしい事象は、お客様と電話で話をした直後、会話の内容が全部消えてしまったことだ。 電話を切ってから、数分間空白になってしまった。あれ、自分は何をしていたのだろう。

    この件があってから、自分は担当を外れ、他のサポートなどを行なうことになった。

  5. 通院開始
  6. 以上のことから、仕事が何もできなくなってしまった。 幸いなことに、上司がうつ病に対して理解があったこともあり、精神科を勧めてくれたので、そこに行くことにした。 また、上司の計らいで、違う職場に勤めることになった。

  7. 新しい職場
  8. 自分は新しい職場で、他の人のサポートをしながらシステム開発をしていくことになった。 しかし、改善しなければならないのはわかっていても、すぐには自分のやり方を変えられず、以降も数度、失敗した。 主担当ではなかったので、大きなことにはならなかったのだが、それでも迷惑を掛けたことには変わりない。

    なんでできないのか?何回も言っているが?

    日常のように聞こえてくる言葉、まるで番組の再放送を観ているかのようだ。 このような状況でも、自分を改善することができない。なぜかというと、言われたことを理解していないからだ。 叱られる、注意されることで、自分の中に厚い壁ができてしまう。 そして現実逃避の行動をとってしまうのだ。 これは、意識して行なっていることではなく、いつのまにかそうなってしまうのだ。

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